ジャズサンバの曲をつくる③

さて、ぶら商オリジナル曲の解説と、ジャズサンバの音楽的特徴について
3回にわたってわたくしの見解を書き連ねてまいりましたが、
これで最終回です。

ジャズサンバの特徴⑤パーカッシヴなリズム
ジャズサンバの特徴、最後はブラジル音楽特有のリズムを刻んでいるということです。
これは、ドラムの話ではなく、ピアノの話です。
最初にお話した、特徴②裏拍のリズムはもちろんですが、
サンバパーカッションのリズムパターンをそのままピアノの奏法にとりいれています。
両手で叩く太鼓のパターンをそのまま、コードで両手で刻んだり。アクセントをまねてみたり。
パーカッションとちがうのが、ピアノだと音程をつけられるので、さらにおもしろい表現ができます。

ピアノは鍵盤楽器に分類されますが、ことブラジル音楽を含むラテン音楽に関しては
打楽器として扱ってもよいのではないかと思っています。

ぶらじる商会最初のオリジナル曲であり、ライヴでも人気のナンバー
「タンボリン組曲」は、一番わかりやすい曲かと思います。



このタンボリン組曲は、その名のとおり「タンボリン」という打楽器のリズムパターンをモチーフにしています。
タンボリン、これですね。こんなバチでたたきます。

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片手で持てる、小さな太鼓です。
回し打ちなども入れることで、いろんなリズムパターンを刻むことができます。
タンボリン組曲のBメロで、回し打ちをピアノで表現しているところがあるのですが、
気付いた方はいるでしょうか?

ちなみに、CDの演奏では複数人で叩いている感じを出すために、
そえぢが1人で「うまい人」「普通の人」「ヘタな人」を演じ分けております。
この曲は、まぼろしの1st Albumに収録されています。
ライヴ会場でのみ購入できますので、気になったらぜひどうぞ!

そして、今回作ったのが、タンボリン組曲の兄弟シリーズ
「アゴゴ組曲」です。
「アゴゴ」という楽器のリズムパターンをモチーフにしています。

うちのは金色です!!

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アゴゴは2種類の音程のベルがついていて、
カンカコンコン高めの金属音です。
ウッドブロックやカウベルに似ているかと思いますが、
「パルチード・アルト」というブラジル音楽特有のリズムを刻む楽器です。

というわけで、このサンバ楽器組曲シリーズ
続けて作っていきたいと思っております。
まずは、アゴゴ組曲が採用されて、
みなさまに無事お披露目できればいいなと思っています。

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というわけで、少しぶら商のオリジナル曲について
知っていただくことができたかな?と思います。

オリジナル曲の骨子はわたしが作っていますが、
ドラムとベースのパートに関しては、2人の類まれなる空気を読むセンスによるアレンジです。
実際にスタジオで合わせてみるまで、実際どんな曲に仕上がるかわかりません。
自分の意図が伝わって、想像していた通りに、あるいはみんなの提案で想像以上のものが
出来上がったときは、複雑なパズルが完成したような、何とも言えない達成感です。

ジャズサンバスタンダードと同じくらい、皆さんに愛される曲を目指して
今後もみんなで試行錯誤していければと思います。

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ジャズサンバの曲をつくる②

さて、前回に引き続きまして
ぶらじる商会のオリジナル曲についての解説と、
それと関連して、ジャズサンバの演奏上の特徴を音楽的観点でお話していきたいと思います。

③ インプロヴィゼーション
ジャズサンバの大きな特徴として、インプロヴィゼーション(即興演奏)があります。
曲ごとに設定されたコード進行に従い、そのコードに合うようにメロディーを即興でのせていくプレイです。
ジャズサンバに限らず、ジャズの演奏に関してはこのインプロというのが 一つの醍醐味であります。
これを前面に出して作った曲が、2nd Album「Renascenca do Jazzsamba」に収録されている
「Improviso 2012」です。

※2:03付近の曲です


もともとジャズサンバの曲で、「Improviso1966」という曲があったので、こんなタイトルをつけてみました。
「Improviso(インプロヴィソ)」は、インプロヴィゼーションのポルトガル語です。

この曲の特徴としては、中間部のキメのところ以外は、全編インプロです。
Aメロは、インプロなので決まったテーマが存在しません。こうすると、コードだけ設定すればよいので、
メロディーを作る手間が省けます。^ _ ^
よって2度と同じものは再演できず、毎回違うテーマが演奏されているのです。


④転調

私は子供の頃からノリの良い曲、ハッピーな曲ばかり作ってきました。
しかしそろそろいい歳ですし、一曲くらい美しいバラードを作ってみたいと思って作った曲が、
「Romantico」です。

※1:13付近の曲です


この曲は、3rd Album「Jazzsambismo」に収録されています。

これは、ジャズサンバだけでなく、ブラジル音楽全般的に多く見られることですが、
曲中で細かな転調がたくさん見られます。
転調があると、単調な曲調から抜け出し、
転調するごとに新しい扉を開けたような新鮮味を感じることができます。
ジャズ畑のプレイヤーは、ブラジル音楽難しいと言う人が多いです。
その理由の一つが、ジャズのセオリーに乗っ取らない転調やコード進行が
平然と行われているからだと思います。

たとえばこんな曲を聴いてみてください。
ぶら商でもたまに演奏する、「Noa Noa」という曲です。



セルジオ・メンデス&ブラジル'65のバージョン。
この曲何調?といわれても、もはやわからないくらい細かな転調が繰り返されています。
演奏するのは大変難しいですが、カッコイイです。

転調は、そこで聴く人をはっとさせつつも、自然な繋がりが大事だと思います。
私はそういう曲に非常に魅力を感じます。
だからブラジル音楽に魅力を感じるのかもしれません。

この「Romantico」も、Aメロのおしりから何段階ものこまかな転調を繰り返し、もとの調に戻っています。
転調するのはいいのですが、なかなかもとの調に戻れなくて、大変でした、、、。

ちなみに「Romantico」は、ポルトガル語でロマンチック の意味ですが、
「ホマンチコ」と発音するそうです。
なんか・・・気が抜ける・・・

あと一曲については、また次回。

ジャズサンバの曲をつくる①

最近ライヴはありませんが、
この機会に新曲をいくつか作っております。

採用してもらえるかは、リハに入るまでわかりませんが・・・!
そのうち皆様にお披露目できたらいいなと思っています。

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ぶら商のアルバムには、往年の名曲のカヴァーが多く収録されていますが、
少ないながらも必ず1~2曲オリジナル曲が入っております。
今回は、なかなか語られることのないオリジナル曲について、作曲者の目線からお話していきたいと思います。


私が子供のころ通っていた某音楽教室では、曲を作る課題を何度もやっていましたが、
自分が得意で好きだったことは、「◎◎っぽい曲」を作ることです。
「バッハっぽい」「ネコっぽい」「フランスっぽい」「刑事ものっぽい」・・・
フレーズの盗作ではなく、もともとある曲の特徴的な部分を抽出して、それで曲を作るのです。

そして今では、ぶら商でやる曲は、「ジャズサンバっぽい」曲にきこえるように
意識して曲作りをするようにしています。
もちろん、本物にはかなわない、和製JAZZSAMBAではありますが、
今まで私が聴いてきた数々のジャズサンバナンバーの
エッセンスを自分の曲の中に取り込んでいるのです。


こちらは、3rdアルバム「JAZZSAMBISMO」に収録されている、「As Marionetas」です。
※0:56付近からの曲です。



この曲は、ジャズサンバフリークなら「あれ?あの曲っぽいかな?」と気付いたかもしれませんが、
Cesar Camargo Mariano率いるSom Tresの代表作
「Tema3」っぽい曲を作ろうと思って作った曲です。
※こちらのアルバム8曲目、21:57付近。



っぽくないですか?

以下は、私がピアニスト・作曲者として
ジャズサンバの演奏上の特徴だと認識していることです。
いろいろなご意見があるとは思いますが、私の主観ということで。

①全パートでリズムをそろえる、複雑な「キメ」がテーマ中に存在する
たとえば上記「As Marionetas」では、Aメロ全体がすべて「キメ」になっています。
リズムをドラムを含め全パートそろえることにより、何も音がない、もしくはピアノの音だけ
という空間がしばしば現れ、緊張感が生まれるのです。
この曲もそうですが、テーマの終りに派手なキメをもってくる曲も多いですね。

ピアノは、裏拍でリズムを刻む
これはブラジル音楽全体の特徴でありますが、ジャズサンバ、特にピアノトリオの場合は
右でメロディーを奏でながら、左手をウカッカッカッカと裏拍で刻むことが多いです。
これは、ギターの代わりだと思われます。
このリズムを利用した「キメ」も、上記の「As Marionetas」のBメロ付近に多用しています。

ウラで刻んでいる曲といえば、「Fin De Semana Em El Dorado」などが顕著ですね。
※3:31付近の曲です。



日本人の私には、今でもこれはほんとにむずかしいですが、ようやく体になじんできました。
ピアノやってる方は、何の曲でもよいので、ぜひメロディー弾きながら8分ウラで左手コード刻んでみてください。
けっこうたいへんですよ・・・


さて長くなりそうなので、他のオリジナル曲については次のブログで。














ジャズサンバの歴史#2

約半年前の記事「ジャズサンバの歴史#1」のつづきです。
お待たせしてすみません。。。
世紀の大プロジェクトのような時間のかけ具合ですが、そんなことはありません。

ご参考までに前回の記事はコチラです。
http://blasyo.blog116.fc2.com/blog-entry-173.html

のころ、コパカバーナの "Beco das Garrafas(ベコ・ダス・ガハーファス。空瓶小路)" には新しい音楽に惹きつけられた若者が押しかけ、界隈の4つのクラブ、Little Club, Bottles's, Bacará, Ma Griffe(リトル・クラブ、ボトルス、バカラー、マー・グリフィ)は毎晩満員であった。ベコ・ダス・ガハーファスは1940年代のジャズの沸点であったマンハッタン52丁目(52nd Street of Manhattan)のブラジル版とも言うべき存在であった。新たな楽曲、さらに洗練されたアレンジ、才能あふれるミュージシャンや歌手の登場と、毎晩ベコでは何かが起きており、陽が高く昇るまで熱気に包まれていた。


(訳注: 空瓶小路とは、界隈のクラブへの行き帰りにたむろする若者たちへ、近隣の住民から空き瓶が飛んできたことに由来して後にセルジオ・メンデスが名づけたもの。wikipedia調べ)


ベコ界隈のクラブに出演したミュージシャン達

ヴォーカル
Agostinho dos Santos(アゴスチーニョ・ドス・サントス)
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【LP: Inimitável / RGE / 1959】

Alaíde Costa(アライーヂ・コスタ)   
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【LP: Alaíde Costa / Som Maior / 1965】

Chico Feitosa(シコ・フェイトーザ)   
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【LP: Chico fim de noite / Forma / 1966】

Claudette Soares(クラウデッチ・ソアレス)  
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【LP: Primeiro tempo 5x0 - com Taiguara e Jongo Trio / Philips / 1966】

Dóris Monteiro(ドリス・モンテイロ) 
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【LP: Dóris Monteiro / Philips / 1964】

Jorge Ben(ジョルジ・ベン) 
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【LP: Samba Esquema Novo /Philips / 1964 】

そのほかにも、
Leny Andrade(レニ・アンドラーヂ) ※17歳までは未成年なので、父親同伴であった
Lúcio Alves(ルシオ・アウヴェス)
Marcos Valle(マルコス・ヴァーリ)
Marisa Gata Mansa(マリーザ・ガタ・マンサ)
Mario Telles(マリオ・テレス)
Odette Lara(オデッチ・ララ)女優
Orlann Divo(オーラン・ヂーヴォ)
Pery Ribeiro(ペリ・ヒベイロ)
Roberto Menescal(ホベルト・メネスカル)
Rosinha de Valença(ホシーニャ・ダ・ヴァレンサ)
Sérgio Ricardo(セルジオ・ヒカルド)
Sérgio Augusto(セルジオ・アウグスト)
Sílvio César(シウヴィオ・セーザル)
Sylvinha Telles(シウヴィーニャ・テリス)
Tito Madi(チト・マヂ)
Wanda Sá(ワンダ・サー)

ピアノ
Antonio Adolfo(アントニオ・アドルフォ)
Sérgio Mendes(セルジオ・メンデス) Sérgio Mendes & Brasil 66、Sérgio Mendes Trio など
Dom Salvador(ドン・サルヴァドール) Copa Trio,Salvador Trio,Rio 65 trio など
Luiz Eça(ルイス・エサ) Tamba trio
Luiz Carlos Vinhas(ルイス・カルロス・ヴィニャス) Bossa Tres
Hélcio Milito(エルシオ・ミリート)
Mario Castro Neves(マリオ・カストロ・ネイビス)
Osmar Milito(オズマール・ミリート)
Tenório Junior(テノーリオ・ジュニオール)
Toninho Oliveira(トニーニョ・オリベイラ) 

ベース
Tião Neto(チアオン・ネト) Bossa Três
Manuel Gusmão(マヌエル・グスマオン)  LP Samba Esquema Novo / Jorge Ben 1963 など
Bebeto Castilho(ベベト・カスチーリョ) Tamba Trio
Sérgio Barrozo(セルジオ・バッホーゾ) Salvador Trio 、Rio 65 Trio

ドラム
Milton Banana(ミルトン・バナナ) Milton BananaTrioなど
Dom Um Romão(ドン・ウン・ホマオン) Copa Trio
Victor Manga(ヴィクトール・マンガ) Salvador Trio

トロンボーン
Raul de Souza(ハウル・ヂ・ソウザ)
Edson Maciel(エヂソン・マシエウ)
João Luiz Maciel(ジョアン・ルイス・マシエウ)

トランペット
Julio Barbosa(ジュリオ・バルボーザ)
Alberto Castilho(アルベルト・カスチーリョ)

サックス
Aurino Ferreira(アウリーノ・フェヘイラ)
J.T. Meirelles(J.T.メイレリス) Meirelles e Os Copa 5など 
Jorge "Jorginho" Ferreira da Silva(ジョルジ”ジョルジーニョ”フェヘイラ・ダ・シウヴァ)
Moacyr Marques “Bijou”(モアシール・マルケス) クラリネット
Juarez Araújo(ジュアレス・アラウージョ)

ギター
Baden Powell(バーデン・パウエル)作曲家
Durval Ferreira(ドゥーヴァウ・フェヘイラ)作曲家
Candinho(カンジーニョ)
Oscar Castro Neves(オスカー・カストロ・ネヴィス)

その他
Mauricio Einhorn(マウリシオ・エイニョーン / ハーモニカ)
Hugo Marotta(ウーゴ・マホータ / ビブラホーン)  Roberto Menescal E Seu Conjunto
Maestro Cipó(マエストロ・シポ)
Ronaldo Vilela(ホナウド・ヴィレラ)

これらのミュージシャンの中でピアノ、ベース、ドラムスというトリオが誕生し、ジャズ的即興を用いてブラジル音楽を演奏するというサンバジャズが確立したのはこのころである。


そんなトリオのなかでも特筆すべきは

Tamba Trio(タンバ・トリオ)
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【LP: Tamba Trio / Philips / 1962】
Luiz Eça(Piano)、Bebeto Castilho(bass)、Hélcio Milito(drum)

Sambalanço Trio (サンバランソ・トリオ) 

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【LP: Sambalanço Trio / Audio Fidelity / 1964】
Cesar Camargo Mariano(piano)、Humberto Clayber(bass)、Airto Moreira(drums)

Milton Banana Trio(ミルトン・バナナ・トリオ)
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【LP: Milton Banana Trio / Odeon / 1965】
Wanderley (piano)、Guará (bass)、Milton Banana (drums)

Salvador Trio(サルヴァドール・トリオ) 
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【LP: Salvador Trio / Mocambo / 1965】
Dom Salvador(Piano)、Edson Lobo (bass)、Victor Manga (drums)

Rio65Trio(リオ65トリオ)
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【LP: Rio 65 Trio / Philips / 1965】
Dom Salvador (piano)、Sérgio Barroso (bass)、Edison Machado (drums)

Tenório Junior Trio (テノーリオ・ジュニオール・トリオ) トリオでのメンバーは不明
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【LP: Embalo / RGE / 1964】
Tenório Jr. (piano)、Pedro Paulo (trumpet)、Maurílio (trumpet)、Pauro Moura (alto sax)、Hector Costita (tenor sax)
J.T. Meirelles (tenor sax)、Edson Maciel (trombone)、Raul De Souza (trombone)、Neco (guitar)
Celso Brando (guitar)、Sérgio Barroso (bass)、José Antonio Alves (bass)、Milton Banana (drums)
Roberto Ronal De Mesquita (drums)、Rubens Bassini (percussion)

Bossa Três(ボッサトレス) 
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【LP: Em Forma! / Forma / 1965】
Luiz Carlos Vinhas (piano)、Otávio Bailly Jr. (bass)、Ronie Mesquita (drums)
オリジナルメンバー Sebastião Neto (bass)、Edison Machado (drums)

Jorge Autuori Trio (ジョルジ・アウトゥオリ・トリオ)
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【LP : Jorge Autuori Trio Vol. 1 / Mocambo /1967】
不明(piano)、不明(bass)、Jorge Autuori(drum)

Primo Trio(プリモ・トリオ)
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【 LP: Sambossa / Musidisc / 不明】
Primo Jr. (piano)、unknown不明 (bass)、不明(drums)

他にも、 Embalo Trio,、Bossa Jazz TrioやTrio 3-Dなど。


ベコで輝いていたのは他にも

Sérgio Mendes & Sexteto Bossa Rio  セルジオ・メンデス&セクステット・ボサ・リオ
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【LP : Você Ainda não Ouviu Nada! / Philips / 1963】
Sérgio Mendes(piano)、Raul de Souza (trombone)
Edson Maciel(trombone)、Hector Costita(tenor sax)
Aurino Ferreira(tenor sax)、Sebastião Neto(bass)
Edison Machado(drums)


Meirelles e Os Copa5メイレリス&コパ・シンコ  (LPs "O Som" 、 "O Novo Som")
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【LP: O Som / Philips / 1964】
J.T. Meirelles(Flute、Sax)、Luis Carlos Vinhas(piano)
Pedro Paulo(Trumpet)、Manuel Gusmão (bass)
Dom Um Romao (drums)

「O Novo Som」 ではEumir Deodato(Piano)、 Roberto Menescal(Guitar)
Waltel Branco(guitar)、Edison Machado(Drums)などが参加。

os conjuntos de Raul de Souzaハウル・ヂ・ソウザ (LPs "Impacto" e "À Vontade Mesmo"),
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【LP : À Vontade Mesmo / RGE /1965】
Raul de Souza (trombone)、César Camargo Mariano (piano)
Humberto Clayber (bass)、Airto Moreira (drums)

Baden Powell バーデン・パウエル 
(LPs "À Vontade" e"Tempo Feliz", com MaurícioEinhorn)
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【LP: À Vontade / Elenco / 1963】
Baden Powell (violão)、Jorge Ferreira da Silva (flaute)
João Batista Stockler Pimentel (drums)
Pedro dos Santos (sorongo)

Edison Machado (エヂソン・マシャード)
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【LP : Edison Machado é Samba Novo / CBS / 1964】
Edison Machado(drums)、Tenorio Jr. (piano)
Sebastião Neto(bass)、Paulo Moura(alto sax)
J. T. Meirelles(tenor sax)、Pedro Paulo(trumpete)
Edson Maciel(trombone)、Raul de Souza(trombone)


Paulo Moura パウロ・モウラ (LPs "Quarteto" e Hepteto")
 訳注: Quartetoは四人組、Heptetoは七人組。
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【LP: Mensagem / Equipe / 1968】
Paulo Moura(sax alto, arranjos)、 Oberdan Magalhães (sax tenor)
Darcy da Cruz(trumpete)、 Cesário Constâncio (trombone)
Luiz Carlos (baixo)、Wagner Tiso (piano)、 Paschoal Meirelles(bateria)


Luiz Henrique  ルイス・エンヒッキ (LP "A Bossa Moderna de Luiz Henrique")
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【LP: A Bossa Moderna de Luiz Henrique / Philips / 1964】
Luiz Henrique(guitar)、Raul de Souza(trombone)
Dom Salvador(piano)、Manoel Gusmão(bass)
Edison Machado(drums)


Julinho Barbosa(Julinho) ジュリーニョ バルボーザ (LP "100% Bossa")
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【LP: 100%bossa / Odeon,Philips / 1963 】
Julinho Barbosa(guitar)、Dom Salvador (piano)
Robertinho Silva (drums)、Luiz (bass)
Neco (guitar)、Oberdan (sax)


Luiz Carlos Vinhas ルイス・カルロス=ヴィーニャス (LP "Novas Estruturas")
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【LP: Novas Estruturas / Forma / 1964】
Luiz Carlos Vinhas(Piano)、J.T. Meirelles(Sax,Flute)
Raul de Souza(trombone)、Mauricio Einhorn(guitar)
Tião Neto(bass)Edison Machado(drums)


Moacir Marques(Bijou) モアシール・マルケス  (LP "Jazz e Bossa Nova")
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【LP: Jazz e Bossa Nova / Tiger / 1960】
Moacir Marques(sax)、Zequinha (piano)
Arthur Barbosa (bass) 、Wilson das Neves (drums).


Os Catedráticos オス・カテドラーチコス (LP "Ataque"),
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【LP: Ataque / Equipe / 1965】
Eumir Deodato (organ,piano),、Sérgio Barroso (bass),
Geraldo Vespar (guitar), Wilson das Neves (drums),
Rubens Bassini (congas&tamborim), Humberto Garin (guiro),
Jorge Arena (congas), Maurílio Santos (trompeto),
Edson Maciel (trombone), Walter Rosa (Tsax) ,
Aurino Ferreira de Oliveira (baritone sax)


Fats Elpidio ファッツ・エウピーヂオ (LP "Piano Bossa Nova"),
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【LP: Piano Bossa Nova / RCA Victor /1960 】
Fats Elpídio (piano), Del Loro (guitarra), Ari (horn)
Maurílio trumpet), Ari Ferreira (flute), Luis Marinho (bass)
Plinio (drums), Aurino (sax tenor), Barão & Gilberto (percussion)


Conjunto Sete de Ouros セッチ・ヂ・オウロス  (LP "Impacto")
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【LP: Impacto! / Polydor / 1964】
José Marinho (piano),Maestro Cipó (tenor sax)
K-Ximbinho (alto sax),Gennaldo (baritone sax)
Ed. Maciel (trombone),Julinho (trompeto)
Papão (drums),Vidal (bass),Myrzo Barroso (vocal)


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【LP: Desenhos / Froma / 1966 】
Victor Assis Brasil(sax),Tenorio Jr.(piano)
Edison Lobo(bass),Chico Batera(drums)


Waltel Branco ヴァウテウ・ブランコ (LP "Mancini Também É Samba),
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【LP: Mancini Também É Samba /Mocambo / 1966 】
Waltel Branco: arranger
Dom Salvador (Piano) , Ed Maciel (Trombone),Pedro Paulo (trompete), J.T. Meirelles (Sax Alto, Sax Tenor),Neco (Guitarrra), Aurino (Sax Baritone),Pinduca (Vibraphone),Victor Manga (drums), Serginho (bass), Ruben Bassini (Pandeiro),Jorginho (conga), Humberto Barin (Guiro)


Nelson dos Santos(Nelsinho do Trumbone) ネルソン・ドス・サントス
(LP "Brasil Bossa Nova")




また、時を同じくしてサンパウロにもサンバジャズに魅せられたバンドが誕生していた。
例えば

Zimbo Trio ジンボ・トリオ (LPs "Zimbo", "Zimbo convida Sonny Stitt" e "Caminhos Cruzados")
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【LP: Zimbo Trio / RGE / 1964】
Amilton Godoy(piano), Luiz Chaves(bass) ,Rubens Barsotti(drums)


Breno Sauer Quarteto ブレーノ・サウレル・クァルテット
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【LP: 4 na Bossa / 1965】
PersonnelBreno Sauer(vibrafone)、Portinho(drums)、Adao(piano)、Erne(bass)

Luiz Loy Quinteto ルイス・ロイ・クァルテット
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【LP: Luiz Loy Quinteto / RGE 1966 】
Luis Loy(piano)、Roberto Bandeira(bass)、Zinho(drums)、Mazola(sax tenor, flute)、Papudinho(piston)

Conjunto Som 4 コンジュント・ソン・クアトロ
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【LP: Conjunto Som 4 / Continental /1965】
Papudinho(trumpete)、Hermeto Pascoal(piano e flauta)、Azeitona(contrabaixo)、Edilson(bateria)

Jongo Trio ジョンゴ・トリオ
jongotrio
【LP: Jongo Trio / Farroupilha / 1965】
Cido Bianchi (piano)、Sabá (contrabaixo)、Toninho Pinheiro (bateria)

Quarteto Novo クァルテット・ノーヴォ
Quartetonovo
【LP: Quarteto Novo / Odeon / 1967】
Théo de Barros(violão e contrabaixo)、Heraldo do Monte(guitarra,viola caipira)、Airto Moreira(bateria e percussão)、Hermeto Pascoal(piano e flauta)

Manfred Fest Trio マンフレッド・フェスト:トリオ
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【LP: Manfred Fest Trio / RGE / 1965】
Manfredo Fest(piano)、Mathias Mattos(contrabaixo)、Heitor Guy(bateria)

Pedrinho Mattar ペドリーニョ・マッタル
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【LP: Bossanova / Farroupilha / 1963 】
Pedrinho Mattar (piano), Mathias Mattos (bass), Antônio Pinheiro (drums),Ayres dos Santos (guitar)



Guilherme Vergueiro ギジェルメ・ヴェルゲイロ
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【LP: Naturalmente / CGC / 1980】   
Guilherme Vergueiro(piano)、Léa Freire, Paulo Guimarães (flute)、 Naná Vasconcelos (percussão)、Cláudio Guimaraes, Fernando "Cisao" Machado, Jose Neto, Marcelo Munari,José Neto (guitar)、Amado Maita, Eduardo Fonseca (Drums) Clarice Tayler, Silvia Maria(Vocal)

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【LP: Ao Vivo em Copenhagen / 1982】
Guilherme Vergueiro(piano)、Chuim(drums)、Mads Vinding(bass)、Nicolai Gromin(guitar)

Erlon Chaves エルロン・シャヴィス
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【LP: Sabadabada / Continental 1965】
Erlon Chaves(Piano), Hector Costita(Flute), Hector Costita(Sax (Tenor)), Kuntz Naegele(Saxophone), Papudinho(Trumpet), Pirituba(Drums), Raul de Souza(Trombone), Renato Menconi(Saxophone), Secco Apostolo(BaritoneSax), Zezinho(Bass)、Carlos Castilho, Carlos Castilho(Guitar)

Sambrasa Trio サンブラーサ・トリオ
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【LP: Sambrasa Trio /Som Maior / 1965 】
Hermeto Pascoal (piano and flute)、Humberto Clayber (bass and harmonica)、Airto Moreira (drums)

Som 3 ソン・トレス
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【Som/3 /Som Maior 1966 】
César Camargo Mariano(Piano)、Sebastião "Sabá" Oliveira Da Paz(Bass);、Antônio "Toninho" Pinheiro(Drums)


Os Cinco Pados オス・シンコ・パドス
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【LP:Os Cincopados / Chantecler / 1964 】
Hector Costita (T,sax),、Buda (Trumpet),Heraldo do Monte(Guitar)、Gabriel Bahlis (bass)、Arrudinha (drum)

Sansa Trio サンサ・トリオ
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【LP: Sansa Trio / Som Maior / 1965】
José Briamonte (Piano) José Ordoñez (Bass) Lauro Bonilha (Drums)

César Camargo Mariano セザル・カマルゴ・マリアーノ
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【LP: Octeto de César Camargo Mariano / RGE /1966 】
Cesar Camargo Mariano (piano)、Airton Moreira (bateria)、Ditinho (Benedito Pereira dos Santos)、Bolão (Isidoro Longano、Boneca (guitarra) Felfudo (Geraldo Auriani)、Humberto Clayber (baixo)、Maguino de Alcântara (Maguinho)など

Casé
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【LP: Samba Irresistível / Bervely 1961 】
Casé (Tsax), Heraldo do Monte (guitar), Paulo Lima de Jesus (piano), Garoto (vibrafone), Xu Viana (bass), Dirceu Medeiros (Drums), Waldemar e Tizu (percassion
)
Luiz Chaves
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【LP: Projecão / RGE / 1963】
Luis Chaves (bass), Rubens Barsotti (drums), Hamilton Godoy (piano), Luis De Andrade “Boneca” (guitar), Demétrio (flute), Hector Costita (Altosax), Magno D’Alcântara (trumpet) and Carlos Alberto D’Alcantana (Tsax)

Paulinho Nogueira
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【LP:A Nova Bossa É Violão / RGE / 1964 】
Paulinho Nogueira(guitar) Orchestra

André Geraissati (Grupo D"Almaの創始者的存在)
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André Geraissati, Ulisses Rocha, and Mozart Melo(Guitar)


完全にディスクガイドになってますね。
また、次回をお楽しみに!!つづく。

ジャズサンバの歴史#1

ひょんなことからネット上でジャズサンバの論文を見つけたのは4月の中旬。
開いてみたものの、ポルトガル語に大苦戦し読破を半ばあきらめておりました。
しかしこの論文の著者でありJazzをはじめとするブラジルのインストゥルメンタルミュージック評論家、ジャーナリストのJosé Domingos Raffaelli (ジョゼ・ドミンゴス=ラファエッリ)氏が今年4月26日に77歳でその生涯を終えたというニュースを見たときに、僕はもしかしたら彼から託されたのでは?という、まあ完全に思い込みなのですが、そんな気持ちになりました。

ということでそんな彼が生前、音楽紹介サイトに掲載するために書いたこの論文を高橋淳一a.k.a.JT氏の協力を得て翻訳し、ここに掲載させていただき、彼のご冥福をお祈りしたいと思います。

この論文をよんでいただきジャズサンバに興味を持つ方が一人でも増えればと思います。



サンバジャズの歴史
著者: ジョゼ・ドミンゴス=ラファエッリ
ジャズとブラジル音楽の評論家、作家、プロデューサー、教授。

これは、ペトロブラス出資による百科辞典編纂プロジェクト"ブラジル音楽プロジェクト"のために行われたものである。


ジャズとブラジル音楽、両者は明確に異なる音楽であるが、アフリカにルーツを持つなどの共通点も多い。
ブラジルとアメリカ合衆国に奴隷がつれてこられた後に何があったのか、そしてどこで二つの音楽的ルーツが再会したのか、この二点は歴史的に重要な観点である。

ブラジル音楽とジャズを関連付ける物はなにか?ブラジル音楽はジャズとアメリカ音楽に影響をうけたか?ブラジル音楽はアメリカのジャズメンに影響したか?
これらの魅力的でエキサイティングな議題へのアプローチは、様々な出来事の時系列に基づいた観察と考察から行うとする。

すなわち

・ブラジル人が好むアメリカ音楽とは何か?
・海外で評価される、または評価されたブラジル音楽とは?
・サンバジャズ、ジャズサンバ、またはブラジリアンジャズなどと呼ばれるスタイルを生んだ、二つの言語の融合とは?




ジャズとブラジル音楽との関係は表面に表れるものよりずっと親密であり、その親密さは驚くべき物だ。

まず、両者ともにアフリカの西海岸地域から奴隷として連れてこられた黒人の文化を発祥とし、文字通り同じルーツを持つ。
奴隷は容赦のない鞭の監視下で休む事なく酷使された。その苦しみを和らげた唯一の慰めは労働の中で歌う歌や、夜に歌う嘆きの歌や、宗教歌や子供に歌う子守歌であった。

また、奴隷船の行き先によって黒人の兄弟がアメリカ大陸の南北に別れる事もあった。
このようにして、二つの音楽は同じルーツから分かたれていった。

では、二つの音楽の音楽的傾向を異なるものとした要因はなにか?
これははっきりしている。

アメリカでは、特にルイジアナ州ではフランス人が大元のアフリカ音楽に手を加えた。
アメリカで最初にアフリカ音楽に変化が起こったのは、カドリールというフランスのとある地方のダンスが流行した頃だと言われている。

一方、ブラジルではポルトガル人(いくつかの州では、少ないながらもフランス人とオランダ人)が入植し、その習慣、風習、宗教などの文化を持ち込んだ。ポルトガル人が持ち込んだフォークロアのリズムがブラジルのアフリカ音楽に影響を与えた最初の外的要因となった。

しかし上記の変化はゆっくりとしたものであるし、おそらく他の様々な要因もあったのだろうが、それらは歴史の塵のなかである。

その後のアメリカでは、強力なシンコペーションが特徴のラグタイムケークウォークと呼ばれる舞踏が誕生するが、これは奴隷の音楽とカドリールの融合からの自然な延長と言える。
なかでもスコット・ジョプリン(1868-1917)はラグタイムの作曲家の中でもっとも有名で、数え切れないほどのミュージシャンに影響をもたらした。

現代でも謎のままとなっているのだが、ブラジル音楽のショーロやポルカ、ヴァウサの先駆者として知られるエルネスト・ナザレ-(1863-1934)を聴くと、ラグタイムに非常に近しい物に聞こえる。
この発見は音楽研究者たちをラグタイムとショーロの間の、すなわちジャズとブラジル音楽の祖先たちの間の繋がりを暴こうと突き動かした。 しかしながらその努力は実を結ばなかったのであった。

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スコット・ジョプリン(1868-1917)            

Ernesto Nazareth

エルネスト・ナザレー(1863-1934)   




ジャズがどのようにブラジル音楽に影響を与えたのか?

1920年代に、アメリカのバンドによってフォックストロット(アメリカンスタイル社交ダンスの1つ)がアッシリオ劇場(当時のリオにおける有名なナイトクラブ)で演奏されていた。
ブラジルのミュージシャンたちはこぞってアメリカ音楽を聞き、メロディーを覚え、リズムを真似し、フレーズを分析し、フォックストロットの様式を吸収した。そしてそれらは次の10年でまとまっていく事になる。

ブラジルに ポール・ホワイトマンやジーン・ゴールドケット、フレッド・ワーリングやユージン・オーマンディのレコードが入って来た頃、ブラジルのミュージシャンたちはそのスタイルに対抗する術を模索しており、 それらは例えばFon-Fon(フォンフォン), Romeu Silva(ホメウ・シウヴァ), Simon Boutman(シモン・ボーチマン), Francisco Marti(フランシスコ・マルチー)のオーケストラに表れている。

40年代からのグレン・ミラー、アーティ・ショウ、トミー・ドーシー、ベニー・グッドマン、ハリー・ジェームスのオーケストラを扱ったライブ映画を筆頭に、トーキー映画の登場はブラジルも含めて世界的にアメリカ音楽を広めた。
ブラジルに Napoleão Tavares(ナポリアン・タバレス), Silvio Mazzuca(シウヴィオ・マズーカ), Zaccarias(ザカリア) , Mid-Nighters, Peruzzi(ミッドナイターズ、ペルッジ)そして有名なTabajara(タバジャラ)といったオーケストラが誕生したのもその頃で、特にTabajaraのリーダー、クラリネットのSeverino Araújo(セヴェリーノ・アラウージョ)はアメリカ・スウィングジャズの先駆者でクラリネット奏者ベニー・グッドマンに師事していた。

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Orquestra Tabajara

ジャズの影響は徐々に積み重なっていった。ブラジルの楽器奏者たち、ショーロ奏者、伝統的な音楽の演奏家、北東部音楽の奏者たちもジャズに影響を受けだす。

さて、いつ、どのように、どこでジャズとサンバが融合し、ブラジルのモダン音楽になっていったのだろうか?

この融合の種が蒔かれたのは1953年4月、ブラジル人ギタリストのLaurindo Armeida(ラウリーニョ・アルメイダ)、とアメリカ人サキソフォニストのバド・シャンクによって"Brazilliance(ブラジリアンス)"の収録がロサンゼルスで行われたときだった。この実験的なアルバムで、ブラジルのギタリストとジャズのサキソフォニスタは革命的な新機軸を打ち出した。ブラジルのレパートリーをジャズの言葉でShankが即興したのである。

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「Brazilliance Vol.1.」 Bud Shank & Laurindo Almeida Quartet (1954)

大きな括りでは、この時Shankが取り入れた物は後にジャズサンバ、ブラジルではサンバジャズとして知られるようになる音楽の基礎に繋がって行くものだった。
"Brazilliance"がブラジル音楽に与えたインパクトは凄まじく、それまで想像されたことすらない新しいスタイルを開拓したと言える。
興味深い事に、同時代の有名なブラジル人サキソフォニストが「ブラジル音楽の中で即興するのは不可能である」と宣言していたのだが、その後彼も自身のアルバムでブラジル的主題にジャズの即興を乗せている。

"Brazilliance"は、ブラジル国内ではMusidisc(ムジヂスキ)レーベルで発売され、後にボサノヴァやサンバジャズの第一線を張るような新世代のミュージシャンの間にあっという間に広まっていった。


一方ブラジル国内のサンバジャズの先駆けとして重要な要因は、"Turma da Gafieira(トゥルマ・ダ・ガフィエイラ)"があげられる。


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「Turma da Gafieira」

この革新的アルバムに参加したミュージシャンは以下の通り。
Altamiro Carrilho (アウタミーロ・カヒーリョ / フルート)
Zé Bodega e Maestro Cipó (ゼー・ボデーガ、マエストロ・シポー / テナーサックス)
Raul de Souza (ハウル・ヂ・ソウザ / トロンボーン),
Sivuca (シブーカ / アコーディオン)
Baden Powell (バーデン・パウエル / ギター)
José Marinho (ジョゼー・マリーニョ / ベース)
Edison Machado (エヂソン・マシャード / ドラムス).

ソロで即興を取ること以上に、Edison Machadoの演奏は頑固なサンバ信奉者たちの間に驚きと不評と議論を巻き起こした。彼はライドシンバルをバッキングに利用したのである。これは当時の演奏家にとっては思いつきもしないことであった。

しかし、ジャズ的な即興とは?

演奏家にとっては調和の上に想像力で色付けをした新しいメロディを産み出すことである。
他の言い方では、自発性と独自性を持ちえる環境下で、自らの音楽性を探しまた表現するにあたって完全な自由を得ることであり、それによって音楽に色合い、トーン、ニュアンス、リズムや変調を注入することとも言える。
このため、ジャズは個の音楽と言えるし、即興はジャズの言葉においては外してはいけない要素なのである。

演奏家によって挿入されるこれらの要素を評価するなら、他の演奏家による録音と聞き比べればよい。
どの演奏家もそれぞれのやり方で即興を行うので、どの録音も同じでない事に気がつくはずだ。

多くのブラジルの演奏家がジャズに影響されたという証拠は、50年代と60年代にリオで開かれていたジャムセッションに見て取れる。
YMCA、マッケンジークラブ、フルミネンセFC、ブラジル銀行などの協賛により、上記の形式ばらないなセッションはブラジル記者クラブの保有する3つの公会堂で開かれた。

常連の参加者は以下の通り。

トランペット
Julio Barbosa(ジュリオ・バルボーザ), Clélio Ribeiro(クレーリオ・ヒベイロ), Santos(サントス) Wagner Naegele(ワギネル・ナエジェリ)

サックス
Paulo Moura(パウロ・モウラ), Jorginho(ジョルジーニョ), Zé Bodega(ゼ・バルボーザ), Moacir Santos(モアシール・サントス), Maestro Cipó(マエストロ・シポー), AurinoFerreira(アウリーノ・フェヘイラ), Moacir Silva(モアシール・シウヴァ),Hélio Marinho(ヘリオ・マリーニョ)

クラリネット
K-Ximbinho(カー・シンビーニョ)

トロンボーン
Nelson dos Santos(ネルソン・ドス=サントス), Norato(ノラート), Astor(アストール), Macaxeira(マカシェイラ),Duba(ドゥーバ)

ギターDinarte Rodrigues(ディナルチ・ロドリゲス),Bola Sete(ボーラ・セッチ)

ピアノ
Hugo Lima(ウーゴ・リマ), Chaim Lewak(シャイム・リワーク),Fats Elpidio(ファッツ・エウピーヂオ)

ベース
Vidal(ヴィダウ), Luiz Marinho(ルイス・マリーニョ),José Marinho(ジョゼー・マリーニョ)

ドラム
Anestaldo(アネスタウド),Paulinho Magalhães(パウリーニョ・マガリャンイス),Sutti(スッチ)


同じく50年代には、ラジオMCのパウロ・サントスがリオ市民劇場でのジャズコンサートを二つ企画し、成功を収めた。

1958年になると、ボサノヴァが若者の間に急速に広まり、ブラジルの大衆音楽における旋律、和音、リズムに劇的な変化をもたらした。MPB(訳注:Musica Popular Brasileira、"ブラジルの"音楽をつくろうとするムーブメント)の始まりである。

そして1961年、アメリカンジャズフェスティバルのバンドが来たときと、トランペット奏者ディジー・ギレスピーの5ピースが演奏のためブラジルへやって来たとき、ブラジルの現代音楽は転換点を迎える。

ブラジルへやってきたアメリカのミュージシャンたちはボサノヴァを初めて耳にして衝撃を受けた。
ディジー・ギレスピー、 トロンボーンのカーティス・フラー、 サックスのコールマン・ホーキンスとズート・スミス、フルートのハービー・マンにピアニストのラロ・シフリンは帰国するなり、ボサノヴァをテーマに録音を行った。

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「Bossa Nova: New Brazilian Jazz」 Lalo Schifrin (1962)

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「Piano, Strings and Bossa Nova」 Lalo Schifrin(1962)  

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「New Wave」 Dizzy Gillespie (1963)

1962年の3月、サックス奏者のスタン・ゲッツはチャーリー・バードのクアルテットと "Jazz-Samba(ジャズサンバ)" を録音。発売後一週間で160万枚を売り上げた。

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Jazz Samba / Stan Getz (1962)

この新たなブラジル音楽の爆発的ヒットにより、1962年12月にAudio Fidelity社の社長シドニー・フレイはアメリカ音楽の殿堂、ニューヨークのカーネギーホールでのボサノヴァコンサートを企画した。さまざまなブラジルのミュージシャン、歌手とバンドがそこで演奏し、アメリカ人にボサノヴァを披露した。このコンサートは録音され、Audio Fidelityから "Bossa Nova at Carnegie Hall" として発売された。

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Bossa Nova at Carnegie Hall(1962)

アメリカのラジオDJはこぞってボサノヴァを流した。非公式なれど、これがブラジル音楽国際化の幕開けである。

これと平行して、アメリカのミュージシャンや歌手もブラジルからアーティストを招き、洪水のようにボサノヴァを録音した。このとき招かれたミュージシャンには、Sérgio Mendes(セルジオ・メンデス), Tião Neto(チアオン・ネト), Hélcio Milito(エルシオ・ミリート), Chico Batera(シコ・バテラ)らがいた。

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「Cannonball's Bossa Nova」
Cannonball Adderley & the Bossa Rio Sextet (1962)



まだまだつづく。